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誕生日の過ごし方

2005年07月03日

 西洋占星術において年運を観る技法の1つに「ソーラーリターン(以下、SRと略)」というものがある。これは出生時の太陽の位置に正確にその年の太陽が回帰した瞬間をもってその人のその年における「元旦」とし、そのホロスコープの状態が次の誕生日までの1年の性質を表すとするものである。
 例えばある人が6月1日生まれでも、今年のSRは07時12分分だったり、来年は14時49分だったりする。太陽の度数(例えば双子座9度)は毎年正確に揃えるわけだが、月をはじめ他の天体はその年ごとに位置が異なり、それがその年(次の誕生日まで)の1年間の運勢を表す。

 去年の誕生日の朝、職場に向かいながら、私はSRのことを考えて「ということは、今日はほぼ実際にSRそのものの天体配置なのだから、今日経験することが、今後1年のミニチュア版でありダイジェストといえるわけだ」と思い至った。

 その日は結構多忙な1日であった。普段より早めに出勤する必要があり、外来及び入院患者さん達を診、数ヵ月後の学会発表のための抄録原稿を書いた。夜には趣味の習い事がある日で、しかも先週先生の都合で休講になった分、今日は2コマ連続。終了は22時という、結構ハードスケジュールだったのだ。

 あれから1年。今年の誕生日を迎えるにあたって振り返ってみると、確かに仕事と趣味でなかなか忙しい1年であった。仕事の後や週末に趣味の学校に通い、新しい知識を仕入れ続けた。そういう意味では充実していたといえる。

 今年の誕生日は週末にかかり、しかも宅直(何かあった場合、病院に呼び出されるため自宅待機する当番)ですらなく、趣味の学校に行き、その前後にもう2つある趣味関連の作業をするという、仕事そっちのけで趣味三昧に嵌るという1日であった。

 「誕生日はその後1年の象徴」という話を友人のNさんにしたら、彼女はそれをより積極的に活用したという。即ち「どんな1年にしたいか」を検討し「趣味と、人間関係を深めたい」と考え、あえてその日に趣味の会に出られるようスケジュールを立て、かつ距離を縮めたい人物と過ごすように計画したという。果たしてこの1年、その趣味と人物に関わりが深いものとなったそうである。

 「へえー、それってSRの原理を利用した、あまり知られていない『開運法』だよね!」と感心していうと「そうそう。更に応用を考えれば、意中の相手の誕生日に自分との関わりができるようにすれば、その後1年、相手に自分と縁が出来やすくなるって考えられるよね」とニッコリした。直接相手と共に過ごせれば最高だろうが、そこまで望めない場合は、せめて日付指定で誕生カードを送るとか、相手がお店を出していたり発表会等をする期間にかかっていたなら、その日を選んで顔を出すとか。

 「一年の計は元旦にあり」とは昔からの言葉だが、これは数え年で国民が元旦に一斉に年をとった時代には、今よりもかなり大きな意味があったことだろう。暦上の年齢は個別性がないけれども、社会単位としての区切りのインパクトは、その集団で共有している分大きな力があっただろうから。

 『宿命占星学』(魔女の家BOOKS)の中で橋本航征は「誕生日は運勢の切り替わり目だから、その前後は危険地帯である。浮かれてお祝いなどしている場合ではない」と書いているが、ただ恐れるのではなく、流年の大事な節目として、今後1年をどう過ごしたいか考え、誕生日を意識的に「デザインする」のも意義深いのではないかと思う。

(2003年)

書いた人 浜野ゆり : 2005年07月03日 09:04

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