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パラオ旅行

2005年07月06日

2004年3月6日から5日間、パラオに初めて旅行した。
 パラオといえば、モルディブと並んで、スキューバ・ダイビングのメッカ。アクセスが良くないこと、ポイントの潮流が速く、それなりのダイビングスキルと体力が要求される場所であることから、これまでは敬遠していたのだが、今回ちょうど良いツアーがあったので参加することにした。

 3月6日(土)
 11:15発のコンチネンタル航空にて成田を出発。グアムでトランジットし、更にヤップで一時停止してからパラオ本島のコロール空港に着いたのが22時すぎ。その晩は市内のビジネスホテルに倒れこむようにして泊まる。

 3月7日(日)
 早朝、既に水着に着替えた上でピックアップを待ち、港へ。モーターボートに1時間弱揺られ、ようやく目的地カープ島に到着。荷物を部屋に運び込んでもらうと同時に自分たちはダイビングボートに乗り込み、すぐに出発。1本目はチェックダイブといって、ダイビングスキルのレベルを見るものであり、ここで技量が悪いことがわかると、良い(しかしある程度難しい)ポイントには連れて行ってもらえなくなる。
 聞くと、今日のチェックダイブをするポイントは「ジャーマン・チャネル」。おお、いきなりこんな有名な所で。
 ここはマンタ(巨大なエイで、ダイバーの憧れの1つ)の通り道であり、平均3回に1度ほどはマンタを目撃できるという。
 結果的には、この初潜りでマンタを3頭、至近距離で見ることができた。残念ながら乾期の割には透明度が悪かったが(15mくらい)、普通そういう時にはマンタは浅い所を回遊することが多く、今回のように観察者が潜んでいる海底近くでゆっくり過ごすのは珍しいそうだ。この直後にナポレオンも現れたし、ダイバーならまずは見たいと思うものがいっぺんに見られたことになる。
 2本目は「ニュー・ドロップオフ」。ナポレオンやサメを複数見る。他にツノダシ、大きなクマノミ、ハゼ類複数、単体でだが大きなマグロも。
 帰島すると干潮で、遠浅の海岸はどこまでも白く広がる。サブインストラクターの女性「ヨウコさん」が潮干狩りに誘ってくれたが、それより昼寝を選択した。私のグループ7人のうち2人は出かけ、小粒で何故か真っ白な天然アサリを沢山持ち帰った。これは翌朝の味噌汁でお目見えすることになった。
 夕食はビュッフェである。食堂に巨大なウインドチャイムがあるなあ、飾りだろうか、それともこんなのを鳴らすほどの強い風が吹くのか、と見ていたのだが、これは食事時になると係りの人がカンカン鳴らして知らせるためのものなのであった。つまりそれが聞こえる範囲に収まるほどの小規模ホテルなのだ。
 食事内容やホテルの設備面については「・・・何せ離島ですから・・・」で全てを説明せざるを得ないような状況だったが、それでも温水シャワーと水洗トイレはあるし、食事も日本の安い民宿よりずっと食べでがある。日本人客が多いということで、毎朝味噌汁も出るし、フリー&セルフサービスのお茶の中に、緑茶のティーバッグも常に入っていた。
 夕食後も忙しい。ヨウコさんが「ヤシガニ獲りにでかけますよー」という。カープ島の奥はジャングルになっていて、地面に穴を掘ってカニが生息しているのだという。懐中電灯を借りて皆で暗がりの中を踏み込んで行く。辺りではヤモリたちが「ケケケ」と鳴いている。蒸し暑くて汗だくになったが、南洋の森の中なのに蚊やブヨがいないのが助かる。
 やがてあちこちでカニ発見の歓声が挙がる。黒褐色のカニで、甲羅幅で6-10cmほど。見つけるとまず、足で甲羅を踏みつけ、両のはさみの根元を手で掴んで持ち上げ、用意した袋に放り込む。中には逃げられたり、はさみで手指を挟まれて怪我をする人もいたが、30分で20匹捕まえ、意気揚々と引き上げた。
 カニは早速ゆでられ、夜のつまみに。味がトロッとしていて、なかなか美味しい。今夜は脚だけ出てきており、胴体は翌晩のチャウダーの中に入っていた(・・・と思う)。
 なお、ひらりんさんという方のHPに、パラオやカープ島のことが美しい写真入りで解説されている。私よりちょうど半年前にここを訪れた方である。
 「ゴーゴー パラオ」    

 3月8日(月)
 この日の1本目「ブルー・コーナー」では潜れず、流された(→エッセイ「漂流記」)。2本目は流れのゆるやかな「タートル・コーブ」でスミレナガハナダイ等を見ていた。ボートに積んできたお弁当を食べ、一休みしたら早速3本目。再び「ジャーマン・チャネル」に潜ったが、今日はマンタに遭遇できず。それどころか、静かに待ち受けるべきマンタの通り道の真中に他のダイバー集団が仁王立ちするわ、砂煙を巻き上がるわでマナーゼロ。わがインストラクターは怒って「脇へどけ!」とジェスチャーで合図したが、理解したのかしないのか、その後も辺りをふらふらして、しっかり邪魔してくれたのであった。
 仕方ないので、海底で小物を観察。チンアナゴやハゼなどを見たり、インストラクターが手に捕まえた小さなタコを見て面白がっていた(墨は吐かなかった)。キツネフエフキ、ナンヨウツバメウオなどもいた。
 ちなみに以前パラオのダイビングで死者が出たのはちょうど10年前、1994年で、この時は5人の日本人ダイバー(うち、1人はインストラクター)が亡くなった。彼らが潜ったのはパラオでも最も潮流が速く、非常に難しいポイント「ペリュリュー・コーナー」である。しかもこの日(5月10日)には台風1号が来ており、海は急激に状況悪化したという。
 以下のページに当時の様子が描かれている。
 http://www.camtech.jp/new/p2/s10.html

 3月9日(火)
 本日、カープ島最終日。リベンジ、ブルー・コーナー!というわけで、今日は1本目「ブルー・ホール」の後「ブルー・コーナー」に再挑戦した。
 ブルー・ホールにて洞窟潜りの地形の面白さを観察後、ブルーコーナーへ。今回はヨウコさんが最初から私に同伴してくださり、お陰で無事海中散歩を楽しめた。透明度も、今までのポイントの中では最も良く、25m以上あったと思われる。サメの群れやコブダイ、ヨコシマサクラの他、これまでも見た多種の魚たち。今日は海底のうねりが強く、岩を掴みながらの移動となったが、とても面白かった。
 帰島して昼食。初日から感じていたが、ダイビング後のビールはむちゃくちゃ美味く、しかも陽の高いうちから飲んでも酔わないのだ。もともと私はアルコールには弱くて、普段なら350ml缶1本で結構くらくらする方なのだが。これは不思議である。しかしこの後すぐまたボートに乗って本島まで行かなくてはならないので、2本目はウーロン茶にしておいた。
 15時発のボートでカープ島を離れる。途中、有名な観光スポット「ロックアイランド」を見ながらの移動だ。これは火山が爆発した後海が満ちてきたというパラオの歴史によってできた造形美であり、岩でできた不定形の大小の島々に濃い緑の木々が生い茂り、見ていて飽きない。
 見とれているうちに本島に到着。再び初日のビジネスホテルに戻り、荷物の整理などした後、「どらごん亭」へ。これはパラオを訪れる日本人には有名なお店だそうで、基本は沖縄料理だが、パラオの素材を使った他のメニューも多い(この店のこともひらりんさんのHPにあり)。今回はナポレオンのガーリックソテー、ロウニンアジとシャコガイの刺身、ベトナム風生春巻き、タロイモコロッケ、パンの実の素上げ、パパイヤサラダ、マングローブ貝の雑炊などを頼んだ。
 ナポレオンは(あまり身の締まっていない)ただの白身魚という感じ。タロイモコロッケはジャガイモのそれに、パンの実はサツマイモとほとんど変わらない。マングローブ貝は、殻はハマグリによく似ているのだが加熱された身は黒っぽく、しかもアサリくらいのサイズに縮んでいたが、だしはしっかり出ていて美味しかった。7人で食べて飲んで、1人22ドル也。

 3月10日(水)
 深夜0時にホテルのロビーでバスにピックアップしてもらい、コロール空港へ。2時過ぎの飛行機で発ち、グアムでトランジットしてから、10時過ぎに成田に到着した。

 今回の旅行は結構ハードスケジュールだったが、やはり海はいい。私にとっての用神(四柱推命でいう、開運のもと)は水気なのだが、海に浸かり、海風に吹かれていると、みるみる元気になる。やはり将来は海の側で暮らすかなあ・・・ダイビング旅行の帰り道でいつも思うことを今回も改めて感じたのであった。

書いた人 浜野ゆり : 2005年07月06日 16:52

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