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どこまでポジティブに考えられるか?(2)

2011年10月16日

前回の記事で、ネガティブな状況にいかにポジチブな意味を見出すかについて述べました。
では、事例をみていきましょう。
読者の皆さんは、回答を見る前に、ご自分で答えをまず思い浮かべてから、先を読み進めてください。


1)出かけようとした時に、靴のヒールが取れてしまった
→出かけるときで良かった!
 出先で取れたら大変だった。
 出かけるときに取れたおかげで、別の靴に変更することができた。


2)道を歩いていたら、肩に鳥のフンが落ちてきた
→いやあ、頭や顔だったら、もっとショックだったよなー。
服で良かった、クリーニングすれば良いから。
それにフンで良かった、これが石とか重い枝だったら、ひどい怪我を負っていたかもしれないのだもの。


4)就職したら、辛い肉体労働で、冷たい雨の中 重い荷物を運ぶので肩や腰が痛くてしょうがない
→これは昔の斎藤氏自身の経験だそうですが、当時はどこが良いのかわからなかったそうです。
 しかしこの仕事があまりにもつらかったので、おかげで、その後いろいろなことを体験したが「あれに比べれば楽なもんだ」と、動じなくなったそうです。
「後になるまでわからない『幸運』もあるのだよ」。


5)山で遭難した
ともかくも最終的に助かったら、それが大幸運だというのは、誰にもわかることですが、遭難したこと自体にどう意味づけするか。
→普段当たり前のように享受している、安全で、それなりに健康で、衣食住を得ている生活が、いかに恵まれたものであるかを自覚できたから、ラッキー!


いかがでしょうか?
さて上記では、3)をあえて後回しにしています、その理由をこれから述べます。


3)部長に雷を落とされた
端から客観的に観察すると、どう見ても部長がその部下をストレス発散の道具としていじめている状態なのに(例えば人格攻撃ばかりで助言がない、助言したとしても漠然としていたり、現実的でなかったり、矛盾した指示だったり)、本人だけが「部長は僕に見込みがあると思っているから、他の部下よりも厳しく当たって指導してくれているのだ」と思っている場合。
そして単に理解が足りなのでなく、周りが理由を伝えて「部長のいうことを本気にしないように」と助言しても「部長は僕に~」との考えを変えようとしない場合、これは現実否認であり、偽のポジティブ思考となります。


こうした考え方は「ポリアンナ症候群」という心理学用語が既についています。
これは『少女パレアナ』という小説のヒロイン、パレアナ(ポリアンナ)の名にちなんでつけられたものです。→ウィキペディアの説明


ではなぜポリアンナ症候群になってしまうかというと、ネガティブな現実(上記の例ならば、「部長は自分をとても嫌っている」という事実)に直面することが怖いからというのが一つ。
もう一つは、この現実に気づいてしまうことで、自分が部長を激しく憎んだり怒ったりすることを考えることが怖いからです。


対人関係が上手くいかない人の多くは、他者に対して適切に反対意見を述べたり、要求したり、交渉したりが非常に苦手で、こうした怒りそのものを我慢したり、感じないように半ば無意識に抑えこんで「なかったこと」にしようとするパターンを持っています。
しかし意見の異なる他者と上手に交渉するには場数を踏むことが必要で、避けてばかりいては一向に上達しません。
そして不慣れなことが実際以上に怖いのは自然なこと。
怖さを克服するには、自分が怖がっている事実を認め、他者との交渉を(最初は失敗しながらも)練習して経験を積んでいくしかありません。


ポリアンナ症候群になる3つ目の理由は、現実に気づくことによって、自分が直さなくてはいけない点から目を背けるためです。
例えば部長に怒られた理由に、自分の営業売上の不振があるのに「今月は、一番悪かったときよりは良いから」と、自分の側の営業の改善法を考えない場合などです。


では上記の例は、真のポジティブ思考ではどうなるでしょう?
いくつかパターンがありえますが、一例が下記です。
→部長はいつも自分をけなすなあ。それにしても今日はいつも以上に強烈だった。
 風邪を引いたと言っていたし、今決算期でここ数日あまり寝ていないと言っていたから、なお不機嫌なんだろうなあ。


部長から見ると、よほど僕の性格が気に障るらしい。
まあ僕も、後輩の○子は、人柄は悪くないのだがあの甘ったるい声が気持ち悪くて嫌いだから、人間同士だとどうしても気の合わない人もいるから仕方ないかも。


それにしても、上司の立場を利用して部下をストレス発散法にするなんてひどいよね。
年齢と役職は上だが、人としての成長度合いはむしろ僕よりも幼いかも。
幼児がかんしゃく起こしてギャーギャー言っている内容に、いちいち反応していたら身が持たないから、日々嫌なことを言われても、できるだけ早く気分転換しようっと。


この部長に配属されたのは大変なストレスだけど、お陰で「くだらない発言を聞き流すこと」の練習を、日々実行できるようになり、上達できる機会が与えられた。
自分ってやっぱりついているのだな!


「こじつけのようで、不自然だ」と感じますか?
でも毎日こういうふうに考えるようにしていると、やがてそれが第二の天性になり、何か嫌なことが降り掛かってきても即座に(真の)ポジティブ思考ができるようになっていきます。
すると嫌な気分を引きずる時間が減り、逆に心地よく過ごせる時間が増えるので、人生がとても生きやすくなり、気づくと実際に「運の良い」ことがよく起こる人生になっていくのです。
努力のかいは、充分ありますよ。

書いた人 浜野ゆり : 2011年10月16日 07:15