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考え方で自分を追い込む人

2009年06月11日

一時は「夢の新薬」ともてはやされ、アメリカに次いで日本でも第一選択薬として処方されるようになった抗うつ薬、SSRI。
最近は自傷(自殺を含む)や他害(他人を傷つける)の危険性があることが知られ始めたこと、また医療費を抑える目的もあり、再び「認知療法(CT)」や「認知行動療法(CBT)」がテレビなどで取り上げられることが増え、書籍やDVDなどの自習用教材も以前より急速に出版点数が増加してきた印象です。


CTのエッセンスを一言でいうならば「人が感じるストレスの度合いは、出来事そのものではなく、その出来事を本人がどういう意味づけ(解釈)をするかで決まる」というものであり、それゆえ自分がいつの間にか身につけた、気分が暗くなるような解釈の習慣(これを「自動思考」といいます)に気づき、これをより合理的・中立的な解釈に修正していくことが要点となります。


また、長引く強い不安やうつに見舞われやすい人、そしてそこから脱出困難な人たちはほぼ例外なく「現在に生きていない」、すなわち過去への後悔と将来への不安のことばかり毎日何十回も考え込んでしまう、という心の習慣があります。


以前私が担当したある患者さん(Xさんとします)は、職場のストレスからうつと不安が強まり、入院することになりました。
話を聞いていく中で、私は彼のいくつかの自動思考と、「現在に生きていない」考え方の両方に気づきました。

書いた人 浜野ゆり : 2009年06月11日 06:34