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(1)強迫性障害の自己治療のために
2009年10月06日
強迫性障害(強迫神経症)がマスコミで取り上げられることが増えたからか、以前よりも一般の精神科外来で強迫症状を主訴に受診する人が増えてきた印象があります。
つまり、それまで病気だということを知らず「自分の変な性格、癖だ」と思っていた人たちが、「病気による症状であり、治せるかもしれない」と気づき、来院するのです。
強迫性障害の治療法としては、精神分析的精神療法や認知行動療法の他、暴露反応妨害法という行動療法があります。
しかし残念なことに、日本では強迫性障害に対するこうした治療法を積極的に行なっている精神科医やカウンセラーは少ないようです。
下記にご紹介する朝倉氏が別の本で述べているところによると、強迫症状を呈している患者さんの治療状況を調べたところ、「薬物療法のみ」が49%、「治療を受けていないが」34%で、「行動療法」はわずか3%だったそうです(他の治療法では「精神分析」6%、「森田療法」2%)。
『強迫性障害の治療ガイド』(飯倉康郎、二瓶社)は、九州の肥前精神医療センターで20年以上前からこの暴露反応妨害法を実施し多くの患者さんに効果を挙げた著者による、この行動療法を実施する際の患者さんへのワークブックです。
そこには
・強迫性障害とは何か
・どのくらいの人がかかるのか
・治すにはどうすれば良いか
・治療中の患者さんが陥りやすい考え(「この治療は自分に合わない」「これだけはしたくありません」「もうこれくらいで十分」など)
などが多数の図表を用いて説明されており、行動療法の骨子もまとめてあります。
従って、その内容を理解し「自分でもやってみよう」と思ったならば、ある程度の割合の人には「自己治療ガイド」として役立ち、実際に症状の改善を得られる可能性があります。
ただ、症状が進行・固定化してしまった人の場合には、治療という「変化」を自分の生活に取り入れるのが怖すぎて、一人では実行できないでしょうから、その場合には強迫性障害の治療に慣れた精神科医や臨床心理士などの専門家の援助が必要となるでしょう。
書いた人 浜野ゆり : 2009年10月06日 06:13