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(2)強迫性障害の自己治療のために

2009年10月10日

『実体験に基づく強迫性障害克服の鉄則35』(田村浩二、文芸社)


今回の本は、強迫性障害を克服した本人による、症状を自己コントロールし乗り切るための考え方、行動の仕方をまとめたものです。
体験者ならではの、リアルな雰囲気が伝わってきます。
本書に述べられている35の項目のうちの、一部を挙げてみましょう。


(1)今やろうとしていることが、強迫行為かどうか、少しでも迷ったら、それは強迫行為である。

→強迫性障害の人は確認等の行為をする際「ちょっと神経質過ぎるかな?でもこのくらいの確認は普通の人でもやるよね…」などと考えながら、ついいつもの行為をしてしますが、それは強迫行為です。


(3)強迫行為を行なわなかった時の不快感にだまされてはいけない。不快感は、時間とともに薄れる。

→暴露反応妨害法では、それを実感することで治療を進めていきます。


(4)強迫行為を続けている限りは、強迫性障害は治らない。


(6)どんなに気になっても、後戻りして現場検証してはいけない。


(8)考えてはいけない。頭の中であれこれ考えたり、回想しないこと。(後略)

→これをメンタルチェッキングと言い、「あの場面で、問題となることは起こらなかったはず」と記憶をたどって確認したり、強迫観念を打ち消すための呪文やイメージを思い浮かべたりすることです。
これらは外面には現れなくても心の中での「強迫行為」であり、(4)にあるように、強迫行為をしている限り、症状は改善しません。


(24)何が何でも無菌室を保とうとしてはいけない。

→「清潔な・安全な、特別の場所」を残すと、そこから次第にまた、強迫症状が再発します。
強迫性障害を克服した姿というのは、どこであろうと適度にいい加減な態度で過ごせることであり、例外を残すとそこからまたほころびが始まり、広がっていきます。


なお、「強迫観念」と「強迫行為」の違いや、治療は「強迫行為」をターゲットとすることで進むことなどは、前回の記事でご紹介した本にわかりやくまとめられています。



書いた人 浜野ゆり : 2009年10月10日 07:17