« 寸暇を惜しんで「プチ筋トレ」しよう! | トップページへ | (2)人生の基本価値観を求めて――なぜあなたは不幸なのか »

人生の基本価値観を求めて

2012年09月18日

みなさん、お久しぶりです。
ブログ更新が間遠なのがずいぶんと長く続いてしまいましたが、これからは徐々にまめに記事をアップしていきたいと考えていますので、またどうぞよろしくお願い致します。


そして本日からは、ここ数年間私が特に注目し続け、何とか多くの方に知っていただきたいと考えてきたテーマ、「スピリチュアルと科学/理性の折り合いをどうつけるか」を、できるだけ継続して書いていきたいと思います。
(ブログなので、その時々の別の話題の記事が挿入されることもあるとは思いますが。)


さてここ10-20年間は、何度目かの「スピリチュアル(精神世界)」ブームになっていますね。


一口にスピリチュアルといっても多くの切り口やパターンがあるのはもちろんですが、ここではまず、催眠療法(ヒプノセラピー)についてまず取り上げてみましょう。


日本でも1990年初頭に翻訳されベストセラーになったブライアン・ワイス氏の『前世療法』をはじめ、「現在の人生は、過去の複数の前世(過去性)の歴史の上にあり、そこから今生の意味や生まれてきた意味を見出せる」といった文脈で催眠療法が注目されるようになりました。
2000年代に入ってからはTV番組で取り上げられたり、多くのヒプノセラピスト(催眠療法士)が開業したり、またそうしたセラピスト養成セミナーも珍しくなくなりました。


催眠療法が一般に知られるようになるにつれ、以前なら催眠療法といえばステージ上の見世物的な「催眠術」で、被験者におかしな言動をさせて観衆を驚かすといった趣向のものは下火になり、実際の事例をもとに前世体験やそれによる悩み・症状の緩和といった流れを放映する割合が増えました。
これは催眠に関して、より真実に近い形が視聴者に提供されるという意味で、一歩前進といえます。


その一方で、マスコミによる情報は「広く浅く」なので、不十分な理解からの誤解も多いものです。


私が精神科医として診療している外来では、催眠療法も行っています(※1)。


自分の悩みは「前世」に原因があるのではと考えて催眠療法を希望しての来院の方もおられるのですが、中にはそういうレベルの話ではない場合も少なくありません。
そうした場合には理由を説明して、他の治療法(薬物療法、分子整合栄養療法、心理療法(※2)など)に変更させていただくことになります。


そのような代表的な状態は以下のものです。


1.統合失調症
2.社会経験が少なく、人格的に未熟なことによる不安障害
3.被暗示性が非常に強く、自分の心理的な不安感からくる身体症状(頭痛・頭重感、痛み、しびれ感、疲労感、めまい感、幻視など)を「霊障」などと信じてしまう


複数が重複していることもあります。特に2.と3.が多いです。


後述しますが、アメリカでは1980年代から、日本でも1990年代からは特に若い世代中心に「解離」という心のしくみを使ってしまう人が多く、すると容易に「自分が自分でないような感覚になったり」「記憶を失ったり、その間に別の性格の人として行動したり」「あらぬものを見たり」という体験をします。


これは悩みを真正面から見つめて取り組むことをせず「なかったことにする」「自分じゃない人の体験ということにする」という、一種の(無意識での)回避行動であるため、本格的で長期的な心理療法によって「逃げない自分」を育て上げるまで、なかなか解決しがたいものなのです。


昨年末以降数か月で、オウムの指名手配犯が最終的に逮捕され、かつて地下鉄サリン事件など我が国の最悪のテロ事件に手を下した信徒は全て逮捕されたことになります。
当時を知る人たちには、多少なりとも一つ安心事項とはなったでしょう。


それでもニュースによると、既に地下鉄サリン事件の後に生まれた世代など若い人たちへ中心に「アレフ」などオウム関連の団体が接近し、再び信者を増やしているといいます。
ヨガ教室やボランティアなど、最初は宗教色を出さずフレンドリーに交流を作っていくので、特に自覚ないまま、気が付くと「教え」になじんでいく、ということだそうです。


それだけ、人生の価値観を何に置いたら良いのか、生まれてきた目的とは何か、といった根源的な疑問に答える仕組みが他にあまりないため、こうした「教え」に引かれる人も後を絶たないのでしょう。


このシリーズでは「スピリチュアル(精神世界)と理性」ということで、既存の宗教あるいは新宗教のいずれにもなじめないが、物理的でドライな「科学的」死生観にも物足りなさを感じる、自分なりに納得できる人生観や生きる目的を構築したいとお考えの方々へ、ヒントになる情報を順次提供していきたいと思っています。


(※1)2012年8月下旬より、浜野自身による催眠療法は終了していますが、相談に来られた方が催眠療法に適しているか否か(これを「適応」といいます)の判定は引き続き浜野が行っています。
適応がある方の場合には外部から来ていただいているヒプノセラピストへの予約を行い、当院での催眠療法を施行できます。


(※2)2012年8月下旬より、浜野による心理療法の新規受付は終了しています。
   当ブログ「リンク」ページに、心理療法に力を入れている医療機関をいくつか載せていますので、ご参照ください。


書いた人 浜野ゆり : 2012年09月18日 06:30