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(10)「適度」なスピリチュアル生活――内観法

2012年10月18日

このように、同じ外的状況(過去を含めて)に対し、自分の受け取り方(考え方)を変えることで心が変化し、それがうつ・不安・イライラ・怒りなどを鎮め、よりポジティブで楽な気持ちにもっていく心理療法の代表の一つが認知療法であり、もう一つが内観法です。


認知療法(または認知行動療法)については最近わが国でもうつ病等への効果が一段と注目され、一般向けの書籍(※)も多く出ているので本書では割愛し、ここでは内観法について述べましょう。


内観法では、一人で静かに目を閉じて自分の心に集中し生まれてからこれまでに「人(特に両親)にしてもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」をテーマとして集中的に思い出す、という作業を行ないます。


不運・不幸スパイラルに入ってしまっている人のほとんどは、「自分ばかり割りをくらっている」という被害者意識が強く、自分がすでに得ているものや、恵まれた点、他人から受けた親切などは忘れていたり、「そのくらいは普通」と思っていることが多いものです。


しかし、人生で最も濃厚な関係を持つ両親との関係について、幼少時から順番に、思い出せるだけ思い出していくと、ここ何年もの間の関係が険悪となっていたとしても、子供の頃遊んでもらったことや世話をしてくれた時のエピソードが思い出され「あんな優しい一面もあったんだ」と気づくものです。


また、自分が経験不足や思い込みから失敗したことにフォローしてもったことや、親に対してとげとげしい言葉を吐いてしまい、その後きちんと仲直りもしていなかったことを思い出したりします。


このように、親をはじめ、自分と関わりの深かった人たちとの関係を、上記三つの視点から順番に思い出し整理していく過程で、彼らへの見方が変わり、そうすると彼らと関わった自分自身への見方も変わります。


つまり、過去に起こったこと自体は変えられなくても、それらの出来事や関係者への見方が変わることで、それらへの自分の気持ちが変わり、より自己受容が進み心が安定するのです。


(※)関心のあるかたは当サイト「おすすめ本棚」の「1.精神医学・心理学関係」に数点アップしていますので、ご参照ください。

書いた人 浜野ゆり : 2012年10月18日 07:02