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(11)「適度」なスピリチュアル生活――許すこと

2012年10月23日

( 2)許すこと


 内観法による心の変容プロセスにも関係が深いポイントが、「許すこと」です。
「あの人が許せない」「自分が許せない」「あの出来事は私の人生の汚点だ」などという気持ちが強ければ強いほど、自分の心に平穏はなかなか訪れません。


 もちろん、自分に対してひどい仕打ちをした人、何かの犯人(前節の例でいえば、無免許運転で家族を死に追いやった人)、あるいは天災などに対し、単にそれを容認するなどという意味ではありません。


自分に理不尽なことをする人には立ち向かい、周りの人の協力も求めるなどして現実的な対処をする必要があるし、犯罪者にはしかるべき刑を受けさせ、賠償を求めるなどの行動が必要です。


災害に対しては、再発防止や、再発時には被害をどのようにすれば最小で済むかを考え、対策を立てるべきなのは当然でしょう。
また、自分の経験不足や準備不足などで何か失敗してしまった場合には、もちろん失敗の原因を分析し、同じミスを起こさないように備える必要があります。


しかし、「あの人を許せない」と思い続けることは、いつまでも怒りや恨み、恐怖感といったネガティブなエネルギーを心に抱き続けることになります。
そして「あの人」は上司・同僚・家族・ご近所など、今後も繰り返し関わらなければならない人であることが多く、怒りを抱いたままではその人間関係は相当ストレスフルなものとなるでしょう。
たとえ自分が隠そうとしても、どうしても言動の端々に相手への嫌悪感がちらつきがちになるので、ますます相手との関係が悪化することにもなりやすいのです。


 第一、怒りなどのネガティブな感情を数週間から数ヶ月以上抱き続けると、それは自律神経を通じてホルモン分泌を異常にし、免疫力を落とし、脳内物質のバランスを乱すことが、心身医学的にわかっています。
ホルモンバランスと免疫力の低下はアトピー性皮膚炎や喘息、リウマチなどの他、高血圧・高脂血症・糖尿病などを悪化させるし、脳内物質の乱れはうつ病をはじめとする精神症状を引き起こしやすくするなど、実際に自分の健康を害します。


では嫌なことがあったときにどう考えれば良いかというと、それが「許す」ということなのです。
例を挙げましょう。

書いた人 浜野ゆり : 2012年10月23日 07:10