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身体は心を動かす

2012年11月05日

うつ病への運動療法が徐々に知られるようになってきました。
従来、うつ病の治療には「しばらくはまず安静にして刺激を避け、意欲が戻ってきたら運動も」というのが基本の指導スタンスでしたが、アメリカでの調査により、よほど重症時以外は(たとえまだうつ気分が残り、意欲が不十分でも)ウオーキングなどの運動を開始・継続することにより数か月後から徐々に症状が改善することが知られてきています。


まず、仕事その他の社会活動を休み家でじっとしていると、次第に寝つきが悪くなり、その結果寝坊するようになり、ついには昼夜逆転になってしまうのはとてもよく見られます。
ただでさえ社会参加の場から離れているのに、世間の大多数とずれたサイクルの生活をしている・・・と感じることでますます孤立感と不安を高めがちになります。


それにどこにもでかけず家でじっとしていると、過去の嫌な記憶や将来への不安ばかりを繰り返し考えてしまい、ネガティブなエネルギーで頭でっかちになり、ますます精神状態を悪化させやすいものです。


そこで軽い有酸素運動を開始、徐々に負荷を増やすことで、身体の刺激が脳にも作用し、精神状態を改善しやすくします。


以前にも書きましたが、人の心の状態は体の状態に影響を受けます。
例えば、おかしくもないのに口角を上げていると、気分も何となく上向きになり始め、ちょっとしたことでも以前よりも面白みを感じやすくなり、実際にうつ症状が軽減しやすいことが、ある研究機関の実験でわかっています(『うつのためのマインドフルネス実践――慢性的な不幸感からの解放』清和書店刊、11月中旬発売予定)。


また、病気レベルでなくとも、例えば慢性の不安、イライラしやすい、キレやすい子供たちに対して、学校の一時限より前に1時間ほどのランニングを行わせたアメリカのある小学校では、運動指導前にはアメリカでも成績が下の方、しかも校風が荒れて生徒同士のトラブルも頻発していたのですが、運動指導を組み入れるようになってからは授業への集中力や意欲が向上したので成績アップ。さらには情緒的にも安定するため、物を壊したり人とぶつかることも激減したそうです(『脳を変えるには運動しかない!――最新科学でわかった脳細胞の増やし方』日本放送出版協会刊)。


都内で運動を取り入れたサポートを行っている医療機関2つをご紹介します。
(クリニックへのリンクは、「リンク」ページに掲載しています。)

書いた人 浜野ゆり : 2012年11月05日 07:01