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(14)「適度」なスピリチュアル生活――心が変わると人生が変わる

2012年11月01日

例えばビジネスで利益を上げること、競争で勝つこと、社会的地位を上げること・・・こうしたことに人は誰しも一生懸命になりますが、それも度を過ぎると健康状態や、家族や友人との大切な関係を失い、他人への思いやりをなくし自己中心的になってしまいます。


こうしたときに大地震などで全ての財産を失い、命からがら非難するといった体験をすると、「お金や物質的満足は、はかなく失われるものであること」「一人では生きられず、愛情ある人間関係が人生には必要であること」「健康こそが財産であり、衣食住はとりあえず最低限でも、健康でさえあれば満足できること」を、いやでもひしひしと実感するようになります。


そして苦しい生活を家族や近所の人たち、友人たちと協力し合って乗り越える経験が、それまで「知識もお金も地位もない人なんて下等」と思い込んでいた自分のおごりと無知を自覚させ、人生そのものの意味を考え直すようになり、被災前には思いもつかないような方向にその後進んでいく、などということも少なくないでしょう。


もちろん③のような考え方をしたからといって、被災した後の物心共に厳しい生活が存在し続けることは変わりません。
しかしつらい出来事の中にもポジティブな意味を見出すことによって、少しずつでも心の動揺を抑えて落ち着きやすくなり、それによって、今後の生活を立て直すための最適な行動を考えやすい精神状態に持っていきやすくなるのです。


少しレベルは違いますが、ドイツ・ナチスに捕らえられアウシュビッツの強制収容所に入れられて、いつ毒ガス室で殺されるかわからないという極限生活の中で、最後まで生き残ったユダヤ人たちの特性を分析したところ、「どんなに絶望的な状況にあろうと、あくまでも希望を持ち続けること」であったといいます。


これはユダヤ人精神科医で、自身もアウシュビッツ体験をしたヴィクトール・ E・フランクルが『夜と霧』で詳しく述べていることですが、このように、考え方で精神状態が変わり、それが健康状態や行動の選択にも結びつくため、人生の進み方が全く変わってくるのです。


また、このような極限状態でなく、通常の生活の中でも、「自分が変わると他者(環境)も変わる」というのは、基本原理です。

書いた人 浜野ゆり : 2012年11月01日 06:52