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(3)スピリチュアルへの批判――そもそも実験になっていないレベル

2013年01月04日

驚きあきれた記事の2つ目は、以下のようなものです。


( 2)ある号には、市販シャンプーはいかに危険かを証明する実験をした結果を発表していました。


そこでは某大手会社のシャンプーで女性3人に洗髪してもらい、どのくらい洗い流したら成分が排水から検出されなくなるか、を示していました。


結果の数値を正確に記憶はしていませんが、確か 20リットル以上でゆすいだ後もわずかに検出されたので
「シャンプーの残留成分がなかなか消えない。これは人体にも害だし、環境を汚染するので使うべきではない」
という結論でした。


この説明には、少なくとも 2つの問題点があります。


第一に、実験結果から、一般化された結論を出すには、統計学的な処理を経なくては意味を成さず、統計的に有意なものにするためには、実験対象数(母集団)を最低でも数十、できれば数百あるいは数千以上が必要です。


わずか一人とか数人による「実験」は、特にテレビの健康番組等でよく行われる手法ですが、それらは「ある人たちの例」を提示したに過ぎず、それを一般化した結論に結びつけることはできません。


すなわち、そもそもこうしたものは読者やテレビ視聴者に
「実験するとしたら、どんな感じでやるのか」
「参加者たちのしていた体験はどんなものだったか」
を感覚的に追体験してもらうための「デモンストレーション」であって、「実験」の体をなしていないレベルなのです。

書いた人 浜野ゆり : 2013年01月04日 19:42