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お金を生み出す

2005年07月03日

 『クリエイティング・マネー』(サネヤ・ロウマン他、マホロバアート)という本がある。直訳すると「お金を生み出す」であり、いかに豊かになるかという本であるが、いわゆるお金の稼ぎ方や運用のノウハウ本ではない。「お金そのものを含む物質的豊かさといかに馴染むか」というのがテーマである。
 ほとんどの人は、より多くのお金、快適な車、居心地の良い家、生きがいの感じられるライフワーク、心許せる家族や友人などを欲していることだろう。「なのに、なぜかそれらに恵まれない・・・」というとき、本当に本気でそれらを持つ意思があるのか?まずはそこから検証してみましょう、というのである。
 お金を持つことに対するアンビバレンスな気持ちを持つ人は多いのではないだろうか。表層意識的にはお金がもっとあればなあと思っていても、あまり大金を持つとその運用法がわからないとか、盗まれるのではないか、お金目当てに近づいてくる人が増えるのではないか。あるいは税金対策や会計士との折衝が大変なのでは、等と思う。また、そもそも自分の能力ではそんなに稼げやしないだろう、誰も自分ごときの技術や仕事をそんなに評価はしないだろうという、自己価値観の問題もある。
 真剣に自分の内面に入って探ってみると、しばしばこうした不安が基底にあることに気づく。そしてこの不安を払拭しない限り、本心から「豊かになりたい。私にはその価値がある」とは信じられないし、そのためのチャンスが巡ってきてもしり込みしてしまい、必要な行動を取れないまま終わってしまう。従ってまず、お金を持つこと、自分の本当に好きな仕事をして生活していくことに対する自分の抵抗感や不安感がないか検証し、あるということを突き止めたらその理由を理解し、その上でお金(その他の物質的豊かさ、自己価値)への適切でより積極的なイメージと入れ替え、安心してそれらを受け止められるようにしよう、という主旨である。
 対人関係でもしかりである。この本は一応、目に見える、現実的なものの豊かさを前面に出しているが、思考法は他のあらゆるものに適用可能だと述べている。例えば20‐30代の女性で、口では「結婚したい」と言っていながら、ちっともしない人がいる。もちろん個人によって様々な事情があるだろうが、かなりの部分で、無意識に結婚を避けているのである。
 結婚するとなれば、単なる恋愛とは違い、様々な制約が加わる。結婚生活に入った途端、ジェンダーとしての自分の女性性、配偶者となる男性への気持ち、子供を生むかどうか、生んだらどのように家庭運営していくか・・・といった膨大な問題が待ったなしで迫ってくる。それらに対してある程度の楽観的気持ち、基本的信頼感がないと、とても決断できないだろう。だから、結婚したいと思い、周りにもそう言っていた人が、実際相手を紹介されたり、男性と知り合っても、いざとなると何だかんだ理由をつけては破談にしてしまう。本人としては自覚がなく、「相手がこんなことをしたから、不誠実だから、相手の親が・・・」等々いうが、実は本人の問題なのだ。時には実際に相手が悪さをしたのだとしても、そのように相手に(無意識に)働きかけたのは当人である場合が多い。
 お金をはじめとする物質的なものにしろ、対人関係にしろ、今と違うもの、よりランクアップしたものを自分のものにするには、その所有者たるにふさわしい「器」になることが必要なのである。
(2004年)

書いた人 浜野ゆり : 2005年07月03日 10:09

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