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精神科にとって代替療法とは

2005年08月22日

 時々、自分の勉強と新たな情報収集のために様々な代替療法の講座を受講します。
 先日もヒプノセラピー(催眠療法)関係のセミナーに参加してきましたが、そのような時に感じるのが、こうした代替療法に対する一般の方々と医療関係者の認識のずれです。
 私が精神科医だと知ると、よく「ヒプノ(あるいは、アロマセラピー、レイキ、等々)は精神科でどのように使われるのですか?」と訊かれので、最初は「浜野さんは」という意味と思い、「そうですね、一部の患者さんに対して、リラクゼーションの一環として行なったり、自分でリラックスできる方法として練習するように指導します」などと答えていたのですが、何度も訊かれるうちに、どうやら「精神科一般では」という意味だと気づきました。

 一般の方から見れば、催眠等も人の心理に深く関わる手法だから、さぞ精神科臨床でも活用されているのだろうと思われるらしいのですが、こうしたものを使う精神科医は、全体の1割いるかいないかでしょう。残りの9割以上は、一度もそのようなものを使わないし、まともに勉強しようともしない、と考えた方が良いでしょう。

 「催眠」だの「気」だの「香り」だのは、良くて気休め、下手すれば変な宗教につながる民間療法だ、くらいの認識しか、「普通」の精神科医は持っていません(他科の医者も同様です)。
 例えば ハーブ療法で、抗うつ作用を持つ薬草「セントジョーンズワート」。ドイツではとうに公認され、医師が処方しています。またフランスで同じく医師の処方する内服用アロマオイルもあるのですが、どちらもわが国では「食品」や「雑貨」としてしか登録できず、その薬理作用をおおっぴらに発表すると薬事法違反で処分されてしまいます。

 だから、通常の保険診療の病院ではそのような治療は受けられないし、ヒプノやレイキを希望しても「変な民間療法にはまらないように」と注意されて終わってしまいます。

 もちろん、保険診療による西洋医学的な診断・治療は非常に重要ですし今後もなくてはならないものですが、何事も「それだけ」と決め付けると弊害が増え、回復できるはずのものもできなくなってしまいます。
 最近ではネットや書籍で代替療法の情報が豊富になり、西洋医学との違いやそれぞれの得手不得手を知ることができやすくなっています。皆さんにはぜひ、その辺りをよく学習し、賢いユーザーになっていただきたいと思います。

書いた人 浜野ゆり : 2005年08月22日 10:51

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