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クリニックでの催眠療法

2008年09月06日

しばらく前からストレス緩和ルームでの新規のセラピー(催眠療法、心理カウンセリングとも)の新規予約が入れらない状況になっていたのですが、その後も「再開はいつか?」とのお問い合わせが続くため、先月から東京メディカルケア 八重洲クリニックでも催眠療法枠を設けることにしました。
今のところはまだ週1回のみですが…。


また心理カウンセリングの方も、(こちらは1回20-30分と短めですが)予約枠を設けてあり、これは私の担当曜日全てで可能ですので、より活用しやすいかと思います。


来月の日本催眠学会でのシンポジスト依頼があったため、現在少しずつまとめているところなのですが、こうしてこの3年間の記録を見返していると、様々なクライアントさんたちの歴史やドラマ、セラピーの中で得ていかれた洞察などの記憶が蘇り、「あの人は今頃、どうしているのかなあ…」と考えたりします。


ところで知人の精神科医が先日、彼のブログで「心理療法は治療というよりも訓練に近い」と述べ、クライアントと治療者の関係をスポーツ選手とコーチに喩えていましたが、私も本当にそう思います。
ちょうど新しいスポーツを覚える時には毎日毎日「構え」「素振り」「筋トレ、呼吸法」などを繰り返し練習することでやがて自分のものとなるように、心理療法の類も自分自身で、自分の例に即して指導を受けながら、何回も課題をクリアする練習をこなさないと、なかなか身につきません。


例えば「ある状況や人に対してのネガティブな考えや、そこから派生する不安、恐怖、怒り、イライラ」などがどれだけ実際の現実に即しているかを検証したり(ほとんどの場合、主観的な思い込みの割合が非常に高いです)、より合理的な考え方を学ぶこと。
最初はそうした合理的な考えに違和感を持ち「そんな上手い話はないだろう」「そんな考えに基づいて行動したらとんでもないしっぺ返しに遭うに違いない」と恐れていたことが、少しずつ練習を積むにつれて自分になじんできます。
これはちょうど、それまで我流のフォームでボールを打っていたのをコーチに付いて練習していて、最初はぎこちないのが次第に「確かにこの方が楽だし、同じ力でもより遠くまで上手に打てる」など納得できるようになるのと同じです。


こうした「新しい自分」を習得するには、やはりそれなりに時間がかかります。
スポーツと同様、数ヶ月から数年のスパンで考えるのが理にかなっています。
それでもそれを行なうのは、投入したエネルギーが十分報われるメリットを得られるからです。


セラピーを経て成長すると、人はより自由になります。
それは世間の、しばしば硬直した「常識」からの自由、親からの自由、そして自分自身による自己批判からの自由です。
また、災難が降りかかってきたり、他人が心無い言動をしてきてもより短時間で上手に切り抜け、余計なストレスに埋もれて過ごしてしまう期間が減り、余裕感が出てきて、人生が楽になります。
「あー、生きてきて良かった…」としみじみと喜びを実感できるような人生を日々経験できたら、それは地上の天国といえるのではないでしょうか。

書いた人 浜野ゆり : 2008年09月06日 09:57