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自信VS傲慢・・・誤解されがちな「成功心理」

2012年10月29日

ここでちょっと余談です・・・というより、「スピリチュアルと理性」シリーズを書き進めていくにあたり、いくつか補足説明が必要だろうと思われる点があるので、それを述べます。


これまで、例えばスピリチュアル系のセミナーの参加者や患者さん方と話していて、何点か気になる誤解がありました。
ここ20年ほどはスピリチュアル系の本が多く出回り、あまり抵抗感なくそうした考えを取り入れる人が増えてきました。
それは喜ばしいことなのですが、その分、内容を誤解し、かえって自分を追い込んでしまったり、心理的に余裕をなくしてしまう人たちも少なくありません。


以下にそれらの内容を挙げます。
(まだほかにもあるのですが、それぞれ項目が大きく一言で説明できるものではないので、「スピリチュアルと理性」シリーズ記事の中で後述します)


誤解1)自分に価値があるという自信をつけると、傲慢な人間になってしまう
→正解)「自分が豊かに受け取ることを当然とする意識」と、「与えてくれた人たちへの感謝」は矛盾しない。むしろ相手を喜ばせる。


よくスピリチュアル系のセミナーや本では、自分が望むもの、良いものを「受け取る」力をつけるよう、助言されます。
毎日の現実、そして今後の人生の方向性は「自分が得るのにふさわしい」と普段思っている内容が現実化したものなので、
何かすばらしい物やチャンスとの出会いがありそうでも「自分にはその価値がない」と(意識的にしろ、無意識的にしろ)思っていると、それらのものやチャンスを逃してしまいます。


たいがいは、そうした「すばらしいチャンス」は「これまで手にしたことがない対象(例:大金、大人数の聴衆、著名人との接触、充実感と責任の大きい仕事etc.)」なので、未経験なことへの恐れ・不安に圧倒され、結局新たな体験に踏み出せないことによります。


しかし誰でも、「自分にふさわしいレベル」のものなら当然のこととして受け取っています。


例えば恋人や伴侶など人生のパートナーを得る場合も、自尊心が低い女性のところには、その人をけなしたり、利用したり、「お前など世間並みの幸せはつかめない。俺が一番お前を理解している」と主張するダメ男が結びつき、やがて耐え切れなくなって別れたとしても(その女性が自分への意識を変えない限り)また似たような男性を引き付けてしまいます。


しかし「自分はもっと価値があり、自分にふさわしい良い男性と結ばれる」と実感をもって信じられるようになると、早晩そうした男性と知り合います。


そして自己価値観が高い人は、自分が相手からふんだんな愛情を与えてもらうことを受け入れます。
「誰だって愛情は欲しいのだから、与えてくれるならもらうのでは?」と思われるでしょうか?


しかし実際には、受取り慣れていない愛情を与えられると、
「彼は自分を買いかぶっている。本当のダメな私を知ったら、あきれて去っていくに違いない」
「こんなに愛情をかけてもらい幸せになったら、罰が当たるのでは?こんな幸せが長く続くはずがない」
などと不安を高め、身構えてしまい、せっかく与えてもらった愛情をきちんと受け取りません。


つまり自己価値観が低い女性は、愛情深い男性が現れて言動の端々でそれを表現してくれても「私なんかにそんなに尽くしてもらうのはもったいない」と妙に卑下したり、遠慮したり、与えてもらったことに恐縮するばかりで心から喜べません。


その結果、「与えてよかった!」という喜び、満足感、充実感を男性に感じさせることができず、物足りなさを残します。
また、良い男性は概して気持ちも安定し、程よい自己肯定感を持っており、パートナーにも同様に積極的・楽観的な言動を求めますが、自己価値観の低い女性はいくら男性が改善のための助言をしても、「そんなの無理」と拒否してしまいます。
自分を変えるのは怖いからです。


当然の結果として、ポジティブな男性はネガティブな女性のもとを去ります。


で、こうしたネガティブな人が抱きがちな誤解が、「恵みを当然のこととして受け取ることや、そうしたことに自分はふさわしいと思うことイコール、傲慢になること」なのです。


例えば、あなたが友人にプレゼントを贈ったとします。
その時の相手の態度が、「うわあ、嬉しい!どうもありがとう!!ちょうどこういうのが欲しいなと思っていたのよ!どうしてわかったの~?」などと、手放しで素直に喜んでくれたらこちらも嬉しく、誇らしく思いますよね。
そうして、「よし、今後は相手の好きそうなものを更にリサーチして、また喜ばせよう!」と思うのではないでしょうか。


逆に相手が(たとえ謙遜や、あなたに手間をかけたことへの恐縮からだとしても)「まあ、そんなに気を遣ってくれなくていいのに」などと言って、本当は嬉しくてもさっと受け取るくらいで話題をそらすなどしてしまうと、(たとえ明言はしなくても)「そんなことをされるとこちらもプレッシャーになるから、余計なことをしないで良い」というメッセージを発したことになってしまい、相手をがっかりさせます。


このようなことを繰り返すと、周りは「あの人に与えても楽しくない」と感じ、必要最小限の接触以上はしてこなくなります。

書いた人 浜野ゆり : 2012年10月29日 06:54