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(2)感謝VS選民思想・・・誤解されがちな「成功心理」

2012年10月30日

誤解2)自分が恵まれている点に意識を向けることイコール、恵まれていない人たちを見下すことになる
→正解)得意不得意、未熟・成熟は表面的なものであり、人としての本質は皆平等である


①ある点――ここでは金銭面を挙げましょうか――で、比較的生活に余裕があるあなたと、生活保護やホームレスの人を比較する場合。


あなたはスピリチュアル系の本で、「既に得ているものに感謝せよ」とあったので感謝はするのですが、どうも何か引っかかります。
自分と、ホームレスの人を比較して自分が「まし」なことを認めるのは、ホームレスの人を見下すことになると、感じるからです。
だから、自分の得ている恵みを素直に喜べません。
ホームレスの人に悪いから。


しかし、これはよく考えてみると、逆に差別意識が知らず知らずに作用しているから、このような罪悪感のうずきを感じるのです。
すなわち「お金を持つ人が偉い」という価値観がベースにあり、ということは、財産により人としての価値も決まるという前提を認めているからです。


このような差別意識があると、条件(上の例では、お金)によって人の価値が決まってしまうため、自分自身に対しても、お金のあるなしによって自己評価が容易に変わってしまうことになり、「お金を稼げなくなったらどうしよう?稼いでも、何かで一挙に失ったらどうしよう?」と、不安になり、本当の意味での安心感や満足感が得られません。


しかし「人間はその本質的な部分において皆平等である」という前提に立つと、表面的にはホームレスであろうが億万長者であろうが、それは「お金という一分野」の、「ある一時期の状態」を示しているだけであり、その人の本質の価値は何も変わらず安定している、と思えるため、他者に対しての敬意も、自分自身に対しての自尊心も自然で安定した形で継続します。


上記はお金の例でしたが、わかりやすくするためにあと3つほど違う分野で検証しましょう。

②人種、性の場合


これらは原則として、生まれた時から死ぬときまで変更不能です。つまり後天的に当人の努力で変えることはできない条件です。
そして肌の色や国籍、性別での差別は最も歴史が長く、問題が深く、国や世界をあげて何とか改善しようと法整備をはじめ多くの努力がなされてきました。


とはいえまだまだ差別は残る世の中です。
あなたが「自分は白人男性に生まれてきてラッキー!」と、既に得ているメリットを感謝するのは何の問題もないことですし、どんどん感謝していただきたいですが、「それに比べて有色人種(あるいは女性)ときたら、全く・・・」などと考えたとたん、それは差別になることは明白ですね。

書いた人 浜野ゆり : 2012年10月30日 06:42