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1.精神医学・心理学関係

2008年12月18日

 


<患者さんとその家族に特にお勧めする本>
NEW【不眠症】
『自分でできる「不眠」克服ワークブック――短期睡眠行動療法自習帳』渡辺範雄、創元社
不眠に対する考え方・環境設定法・行動の仕方を学び、自身で不眠を改善するためのワークブックです。
こちらこちらに、レビュー記事もあります。


【うつ病】

 『専門医がやさしく教えるうつ病』水島広子、PHP
うつ病とはどんな病気か、発病しやすい状況、症状、治療法などが豊富なイラストと共に、わかりやすく記述されています。入門書として良いでしょう。


『対人関係療法でなおすうつ病』水島広子、創元社

日本の対人関係療法の第一人者である著者が、うつ病の正しい理解と対処法を患者および家族や友人、職場の人たちなど、対人関係的な視点を中心に解説し、具体的なアドバイスを示しています。うつ病を理解するする書としても、対人関係療法の入門書としても手に取りやすい一冊です。
なお、対人療法を用いてうつを改善するための自助用ワークブック『「うつ」が楽になるノート』(PHP研究所)も、同じ著者が出しています。


『いやな気分よさようなら』 デイビッド・D・バーンズ、星和書店
日本で一般向けに出版(翻訳)された、おそらく最初の認知療法の本。現在までに何度も改訂版が出ているロングセラーです。
認知療法のエッセンスを一言でいうならば「人がどのくらいストレスを感じるかは、出来事そのものよりもその出来事に対する本人の意味づけの仕方によって決まる」というものです。うつ病や不安症になりやすい人は、日常のちょっとした出来事からも「自分はダメだ、無価値だ」「皆に嫌われている」「今後もろくなことはない」という考えに自動的に結びついてしまう習慣ができており、こうした自己否定的な考えによってますますうつの深みに引き込まれてしまいます。認知療法ではまず自分のこうした否定的自動思考に気づき、それは決して現実を反映していないことを理解することで、「出来事」と「思考」を区別して見られるようにしていくという技術です。認知療法はここ数十年の多くの研究から、うつ病の改善に非常に有効であることがわかっています。


 『うつと不安の認知療法練習帳』デニス・グリーンバーガー、創元社


 『オプティミストはなぜ成功するか』マーティン・セリグマン、講談社文庫
 …同じ状況に出会っても、楽観主義者(オプティミスト)はじきに立ち直り、悲観主義者(ペシミスト)はすぐに絶望してやる気をなくしてしまいます。どのようにこの2種の人々が出来あがるのでしょうか?悲観主義者は楽観主義者よりも簡単に諦め、職場でもスポーツその他の場でも能力以下の成績しかあげらず、健康状態も悪い。しかし悲観主義は学習によって楽観主義に変えることができる、という趣旨の本で、豊富な事例とチェックリスト等を駆使した、これも一般向け「認知療法」の本といえます(読み物風)。文庫で手軽ながら、内容は非常に濃く、しっかり理解するためには何度も読み返す必要がありますが、その甲斐はあるでしょう。


【躁うつ病(双極性感情障害)】
『うつ・躁回復ワークブック』メアリー・コップランド、保健同人社


【統合失調症】
『正体不明の声――幻覚妄想体験の治療ガイド』原田誠一、アルタ出版


【摂食障害】
『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』水島広子、紀伊国屋書店


【強迫神経症】
『強迫性障害の治療ガイド』飯倉康郎、二瓶社→レビュー
『実体験に基づく強迫性障害克服の鉄則35』田村浩二、文芸社→レビュー
強迫性障害とは何か、どのような考え方で取り組めば良いのか。この2冊は自助本としてお勧めしています。どちらもブックレビューも書きましたので、ご参考に。


【ひきこもり】
『「ひきこもり」救出マニュアル』斎藤 環、PHP研究所
著者は青少年健康センター(東京都文京区)で「実践的引きこもり講座」や「ひきこもり家族会」を主宰。
この十数年で大幅に増えている、いわゆる「ひきこもり」とはどういう状態をいうのか、家族はどのように対応すれば良いのか、陥りがちな誤った対応など、豊富な事例とQ&Aにて、家族の不安に答えています。


【その他】

 『臨床心理士に出会うには』 日本臨床心理士会編、創元社 
 きちんと教育・訓練を受けた専門家に心理療法を受けたい・・・と思っても、どうやって探せば良いのか、どんな背景を持つカウンセラーなのかは、なかなかわからないもの。この本は歴史ある専門家集団による編集なので、信頼性が高いと思われます。なお最新情報は WEB版 臨床心理士に出会うには にて検索もできます。


  『図説雑学 心の病と精神医学』 影山任佐著 ナツメ社
 心の病のさまざまな症状から、精神医学の歴史や現代の精神医療まで、幅広く網羅した手ごろな入門書。病を過度に心配する前に、先ずは病を知ることが必要であり、「心の病」を知ることは、人間を知ることでもあります。


  『キーワードでわかる最新・心理学』 成田毅・編著 洋泉社新書
 「トラウマ」「快楽殺人」「共依存」……。不可解な事件に潜む人間のこころの不思議。その深層を読み解くための心理学最新キーワードをやさしく解説した、寝転がって読める入門書です。この本は東京学芸大学2001年度の1年生向け授業「こころの科学」(Science of Mind)の教科書として採用されました。


 『救急精神病棟』野村進、講談社
 日本の精神科救急の現場や入院治療の様子を、(珍しく)偏見や、狂信的ヒューマニズムから離れて、ほぼ正確に描写したルポ。


 『「困った人たち」の精神分析』小此木啓吾、新潮文庫
 『みんなの精神科』きたやまおさむ、講談社+α文庫
 『どうぞ気楽に精神科へ』高橋祥友、講談社
 『軽症うつ病』笠原嘉、講談社現代新書


<以下は、セラピストの卵向け>

 『心理療法を学ぶ 基礎理論から臨床まで』 霜山とくじ、有斐閣選書
 フロイトの精神分析、ユングの分析心理学、ロジャースの来談者中心療法という3大流派の、ごく基礎的理論を述べ、続いて各流派の初期・中期・終結期に至る流れ、それぞれの時期の課題と起こりがちな問題およびそれらへの解決法を説明。また小児や思春期患者とその家族への関わり方を解説しています。とっつきやすく、全体を俯瞰するのに適した一冊です。


 『カウンセリングの理論』『カウンセリングの技法』 いずれも國分康孝、誠信書房
 前者は精神分析、来談者中心療法の他、論理療法、ゲシュタルト療法、交流分析など、多種の理論と技法を網羅してあり、幅広く全体を見たい時に役立ちます。
 後者はカウンセリングの具体的な学び方、施行する場合の注意点など、実際に臨床に使うにあたって役立つ情報が書いてあります。
 初版はもう25年前のものですが、今でも勉強の入り口として使われることの多いロングセラーです。


 『セラピストの仕事 心理面接の技術』ジョージ・ワインバーグ、金剛出版
 『カウンセリング演習』福島脩美、金子書房
 『カウンセリング技法入門』玉瀬耕治、教育出版
 …この3冊は、カウンセリングにおいて検討すべき項目を、細かくかつ具体的に記述。実際の面接場面を想定しながら、クライアントとのやり取りも再現しています。臨床を持ち始めたセラピストに役立つテキストです。


 『臨床心理士になるために』日本臨床心理士資格認定協会 誠信書房
 …臨床心理士になるための全てのことが書いてあります。


 『対象関係論を学ぶ クライン派精神分析入門』松木邦裕、岩崎学術出版社
 『統合失調症の認知行動療法』デイヴィッド・G・キングドン他、日本評論社


書いた人 浜野ゆり : 2008年12月18日 18:44